SCOR [ スコー ]の世界を形作る『星をめぐる旅の記憶』にまつわるお話
+ + +
2.羽色の星で紫色のオーロラを見る
天使と白く巨大な水晶の星の話をしながら並んで見たオーロラは、珍しい紫色をしていた。
珍しいといっても、わたしが本で読んだことや人から聞いたことがなかっただけで、特別なものではないそう。
この星は、その大半がフローライトで構成されており、さまざまな条件が揃うと夜空が紫色に染まるらしい。
空の紫色が、温度の異なる大気のうねりによって、濃淡ができたり、うねって見えたりする日常的な現象らしいので、本当のところはオーロラでもないのだった。
「紫色でも緑色でも、それがなんであっても、オーロラと呼びたければオーロラでいいし、たかが概念」
件の天使に、紫色のオーロラ(ではないもの)の仕組みを聞かせるとそう返された。
「自分の中にあるオーロラのイメージにしがみついてるわけではないよ。物理次元を楽しみたいだけ」
「そうだよね」
わたしが星々を旅して回る民だということを、この天使は知っている。
天使は詮索してこないので、気楽に付き合えて楽。
天使の吐く水色の息が、白い羽と重なって鮮明に見えた。
Halo – 羽色の星 (pt200-a-s)
https://scor.thebase.in/items/42161294