SCOR [ スコー ]の世界を形作る『星をめぐる旅の記憶』にまつわるお話
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4.紫と緑の尾の流星に乗って
[Спутник(スプートニク)4436番]こと「生命の流星」の、淡い半透明のグリーンフローライトできた内部から「外」を眺めている間もなく、乗り込んだ時にはすでに「生命の流星」は行き先に向かって出発していた。
「時間というものが存在し、それが一方向に流れている」という認識が頭のどこかにまだ残っているようで、流星に乗り込んだ「瞬間」に、出発した「あと」の光景を見たことに不思議な感覚を覚えた。
羽色の星から伸びた紫色のオーロラ(だと思われているが実は空の色がまだらになったもの)と、「生命の流星」の淡いグリーンが混じり合った、色鮮やかな光の帯、その中に、ねずみ花火のように星屑を撒き散らしながら螺旋状に伸びる、流星の尾の一部が見えた。
流星が、流星の色と出発地の星の色が混じりあった光の尾を引く現象は、星を構成する物質のうち、一部の鉱物が星の大半を占める場合に起こるという。
フローライトは、その一部の鉱物にあたる。
フローライトは、緑、紫、青、黄、ピンク、無色など、色彩が豊富なことと、フローライトがその大半を構成する物質である星が多くあることから、フローライトの星に発着(乗り込んだ瞬間に、すでに出発している流星にこの表現は適切か?)する[Спутник(スプートニク)]には、この現象を見ることを目的に利用する者も少なからずいるという。
いつまでも消えない紫と緑の光の帯と、煌めく星屑を眺めているうちに、いつしか眠ってしまったようだった。
Shooting star – 紫と緑の尾の流星 (pt179-f-s)
https://scor.thebase.in/items/39732854